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慶應野球部と「褌論」

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セントルイス野球団

1907年(明治40年)10月31日、初めてハワイのセントルイス野球団が来日し、早稲田、慶應野球部とそれぞれ対戦することになりました。

しかし早稲田は三連敗し、慶應も連戦連敗といいところなく、そして最後の試合が一つ残され、日本の名誉の為にもどうしても勝たなければならない大事な一戦となってしまいました。

その時、毎日のようにネット裏でその試合を観戦している一人の海軍将校がいました。
彼は見かねて、慶應野球部に一通の手紙を送ります。

前略
 武士が戦場に臨むにも相撲取りが土俵に上るにも或は又碁打ちが碁盤に対するにも総て其方面の勝負には之れ無くては叶はぬ必要にて其効用は
「決して睾丸の保護には無之」実に左記の如き偉大なる効能有之に依る次第に御座候
一、心気を丹田に落着け従って逆上を防ぎ智力気力の発作を自在にする事
二、腹部に体力を保持し従って腕力の発作を大にする事
三、気息を容易にし従って息切れを防ぐ事
四、身体の中心と重心とを一致せしめ従って体を軽くし歩速を増加する事
 此等の効用顕著なるは小生が多年実験する処にて日露戦争中黄海日本海等にも小生は先づ褌を締めて艦橋に上り確に心気の動揺を防圧し得たる様相覚へ居候
 又昔時東海道を早打が二重に褌を締め白木綿に腹を巻き締めて此の長途を三日間に往復したりとの実例に照しても其効能明白に御座候 然るに近時の青年諸君は世俗の進化と共に此の褌の大効用を知られざる方多く越中褌又は普通猿股等を用ひらるる故に腹に力が入らず血が頭脳にのみ逆上する為め咄嗟危急の場合等に処して肝要なる虚心平気の態度を失ひ従って出るべき智能も技量も出し得ざる事有之候
 無論貴選手等には斯の如き事萬々有之間敷候へ共小生が昨日老婆心より見たる処にては未だ腹に締りが足らざる様相見受申候 堵て其褌の締方如何と申せば臍の下約二寸の処に巻き更に股に掛け上方に滑り上るを防ぐ事と同時に睾丸を緊縮し最後に背筋の中央を扼する事が至極効能有之即ち総ての力は此点より湧出と見るものに御座候 又其の締め加減は余り堅過ぎても宜しからず締上たる処で丁度五本の指を平たく入れて通るか通らぬか適度に御座候 若し又日本流の六尺褌が習慣上具合悪しければ越中褌の紐を一尺の木綿にて巻き締められても宣しく要するに臍の下二寸の処を締めて居るが肝要に御座候
 兎に角緊褌一番を実験し御試に被成候得ば必ず多少の効能は可有之五十間飛ぶ球が六十間飛び五秒掛る所を四秒に走り三度の過失が二度で済む位の事は確に候
 小生目下海軍に奉職致し居り候 其の昔大学予備門に在りたる頃は随分野球に耽りたるものにて貴校の今回の対外御試合も真に不少趣味を以て拝観致し居り今後両回の御勝負は実に帝国腕力の名誉に関する者と相心得是非共貴選手の大勝に帰する様希望致し老婆心の発する所を書流して申進候 御笑味被下候得ば本懐の至りに御座候 不一
   明治40年11月13日
                     秋山眞之
   慶應義塾
          野球選手各位

差出人名でお分かりでしょうが、その人こそ、日露の海戦で東郷平八郎の懐刀として、あらゆる作戦を立案した、あの秋山真之だったのです。

褌(ふんどし)論とは、褌の文字が衣ヘンに軍と書くことから、「戦さは褌で臍下丹田をひきしめ、胆力を発揮して臨まねばならぬ」という意味で、これに鼓舞された慶應野球部は、最後に勝利し一矢を報いたのでした。(ただ、記録によると慶應の成績は2勝3敗となっています。)

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