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綿羊(毛を採るための羊)、初めて飼育される

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綿羊
綿羊

日本に初めて綿羊(毛を採るための羊)が輸入され、その飼育を開始した記録が「近世農史」に依りますと、1872年(明治5年)5月17日となっています。

木綿や麻、絹布などの功業は我国でも早くから発展していましたが、独り毛織物だけ一向に奮っていませんでした。もっともずっと欽明天皇の御代に下野国で羚羊(カモシカ)の毛を織物とし、これを計牟志呂(けむしろ)と称したという古い記録があります。

慶長年間には京都で兜羅(とろ)錦という棉と毛の交織物を織出していますが、これも一向に奮いませんでした。

明治初年には西洋式の風俗が流行り出し、羅紗(ラシャ)服の需要に迫られ、明治新政府が積極的に乗出して、アメリカから綿羊数頭を輸入して、東京雉子橋外の官邸で飼育を始めたのが、先に述べました明治5年の事でした。

しかし、土地の関係もあり、飼育場の知識なり設備も甚だ不備であった為、その経過はほとんど失敗でありました。しかし一方羅紗の需要は益々増加し、年々輸入される量も大した額に上るので、政府は1877年(明治10年)に東京府下南千住に製絨所を設立し、京都の白川にはモスリンの加工場を設けて、毛織物の製造はどうやらその端緒に入る事ができました。

しかしその原料たる綿羊の飼育が漸く奨励され出したのは、昭和年内に入ってからで、今以て産業的水準は極めて微々たるものでありました。

すなわち農林省畜産課の統計に依ると、綿羊数の数は、

 ・大正6年       3,192頭
 ・昭和6年      17,901頭
 ・昭和11年5月末  68,064頭

と、逐次増殖計画が進められています。

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