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大津事件(露国皇太子の遭難)

昨日取敢ず号外を発して報道に及びたる如く、露国皇太子殿下に関し実に驚くべき左の一大変報に接したり、是唯朝野共に恐徨して同殿下の速に御平癒あらんことを祈り奉るの外なく、誠に慨嘆すべきことなり。

其次第左の如し。
露国皇太子殿下の御負傷傷昨日午後二時三十分発にて滋賀県知事より内務大臣の許へ達したる電報に曰く、

露国皇太子殿下只今、当地御立の途中、大津町に於て路傍配置の巡査一名抜剣皇太子殿下の御横額へ切付たり。犯人は其儘縛に就きたり御傷は横三寸余、御精神は確にて供奉員にて取敢ず、繃帯し県庁へ御帰りあらせられ目下御療治中、犯人の巡査は本県守山警察署津田三蔵と云ひ全く精神狂ひ此挙に及びたりと恐れ入り居れり。御先導の警部は該巡査に一刀切付けし上縛せり。何とも恐入りたる次第なり不取敢上申す。

〇天皇陛下行幸
天皇陛下には右の変報の達するや深く畏襟を悩ませ給ひ、土方宮内大臣を宮中に召日午前六時御出門、六時三十分新橋発の汽車にて御発輦あそばらるゝ御都合なり。

    

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